食べる

【開催レポート】精進フレンチ”秋”

精進料理をフレンチで仕上げ、ただただ美味しく食す「精進フレンチ」。前回好評を博したため、第2回目として、”秋”バージョンを開催しました。その様子をお伝えします。

概要

イベントの目的

「料理を美味しく食べる」ただそれだけです。

大した目的はないのです。ただ、その美味しく食べるために、精進という料理、フレンチレストランのシェフ、禅寺という環境、を揃えています。

日々の食事は、よくよく考えると、食べることだけに集中していることが少ない気がします。「空腹を満たすため」「接待のため」など、食事にいろんな意味を持たせています。今回は、それをなくして”とにかく味わう”会として開催いたしました。

時期

11月後半のお昼です。

ちょうど秋から冬に変わるころ、第1回を開催した7月とは、旬の食材が違ってきます。秋ならではの食材をシェフが見事に仕上げてくれました。

参加者

実にさまざまです。福岡市中心部からお越しの方も何名もいらっしゃいました。

また、何に惹かれて来られたかについてもさまざまでした。「精進フレンチっていうフレーズが何だか面白そう」「神社仏閣が好きだけど、イベントの時でないと何となく入りにくい」「精進料理が好きでいろんな精進料理会に参加している」「プロデュース店のフレンチが好きだから、精進バージョンも食べてみたい」などなど。

会場

参加者の顔は隠しています。

会場は、二丈エリアにあるお寺の部屋です。いかにも「和」の感じです。

ちなみに、禅寺は料理を大変重視しているため、大体「大きめの厨房」があります。料理をする環境はものすごく整っています。

当日の流れ

当日の流れは3STEPです。

3STEPスライド

➊【前説】精進料理やマインドフルネスについて

料理登場の前に、前説として、知識を共有しました。勉強会ではないので、何か覚えなければいけないわけではありません。単に、「美味しく食べる」という気持ちをつくるための助走時間のようなものです。

❷【集中】3分間”味わう”だけ

食事の冒頭3分間だけ、「会話なし、スマホなし、とにかくゆっくり味わって」食べます。

この3分間は全神経を味に集中させるのです。

実際、参加者の方から、「この3分間でいつもの食事を急ぎ過ぎていたことに気づいた」との声をいただきました。

❸【楽しむ】ただただ食事

出された料理

「マインドフルネス」の文脈では、本来は、最後まで会話を止めてゆっくり食べ続けるものです。しかし、やはり、「美味しい」を人と共有することもまた、食事の楽しみの一つであると考えます。

ということで、みなさん、「これが美味しい」「これの隠し味は何だろう」と会話が盛り上がっていました。

食事の最中には、シェフから本日の料理についての説明があり、みなさん食材や調理法について一層興味がわいていらっしゃいました。

シェフが料理について説明する様子

❹【おまけ】抹茶タイム

最後、お時間がある方には、抹茶を出しました。おまけです。

参加者の声

参加者の方からこんな声をいただきました。

  • どれもとても美味しかった!使われている食材まで意識した。
  • 3000円とは申し訳ないほど豪華でした!
  • 仏像を見ることもできて、贅沢な時間でした!
  • 食べることに集中すれば少量でも満足できる、とはいえ、美味しいものならいくらでも入る気持ちでした!
  • ゆっくり味わって食べると、本当に少ない量でもとても満足感がありました。
  • 最近忙しく、気持ちが落ち着かなかったが、マインフルネスを意識して食事をすると気持ちが前向きになった。
  • 福岡市から参加したが、とてもよい休日を過ごせた。

ありがとうございました。

精進フレンチに込める想い

エンタテインメントとして

精進料理を食べる会は、いろいろなお寺で開催されています。それはとても素晴らしいことです。しかし、少し敷居が高い感じもします。

「精進フレンチ」は、あえてお坊さんが作るのではなく、フレンチシェフが精進料理をプロデュースするというコンセプトで、「何となく食べてみたい」という人にも敷居を低くすることを目的としています。

より「エンタメ」要素を強めて、通常では届かない人にも届けることができたかと思います。実際、参加者の方から「普段はなかなか入りづらいけど、今回は気軽に来れた」という声も聞こえました。

地域の魅力創出として

地域内送客

今回、料理プロデュースは同じ糸島にお店を構えている、フレンチレストラン「アムール」です。普段は、店舗で本格フレンチを提供しているレストランのシェフとオーナーが出張でお寺の厨房に来てくれています。

普段のアムールは、季節ごとにメニューを変え、丁寧な料理を提供しているレストランです。当イベントで伝えたい精進料理のコンセプト「旬の食材を丁寧に調理して丁寧に食す」ということにマッチするお店です。当然、精進料理のメインが肉や魚にはなりませんが、コンセプトの面でとても相性がよいので実現しています。

当日は食事の前後で「普段のアムール」について紹介していただく時間も少し入れました。そのことがキッカケとなり、参加者の方が「次はアムールのお店に行ってみよう」となってくれたら一層よいと考えてプログラムをつくっています。実際、後日、アムールへ足を運んでくださった参加者もいたようです。

このように、同じ地域のレストランとコラボレーションをすることで、それぞれ単独ではアプローチできない層へ魅力を伝えることができると思います。当寺院は、レストランの集客につながったとして、直接的メリットはありませんが、「地域の活性」という視点では、貢献できると考えています。

地産地消

食材は、糸島地域のものを使っています。まさに地産地消です。参加者には糸島外からも複数おり、その方々に食材を楽しんでもらうことができます。精進料理は、食材本来の味を引き出すために、あえて薄味になっています。

マインフルネスの実践として

マインフルネスの勉強会ではありませんが、「食事を楽しむ」ために”味わう”に集中する3分間を設けています。マインフルネスを日々実践しようと思っても、現実の社会人はなかなか難しいものです。ほんの少しでも日々の生活に取り入れるならば、今回のように「3分間」等の時間を区切ることが必要だと思いプログラムに入れています。

本当に「マインドフルネスイーティング」をするならば、食事の最初から最後までゆっくり食べるものでしょうが、現実難しい。それならば、「1日3分でも」というようにハードルを下げる形です。

お寺のアセット(眠る資産)活用として

前述の取り、禅寺には大体、大きな厨房があります。これは、法要の際に手伝ってくれたお坊さんや、参加してくださった檀信徒の方と一緒に食事をする調理場として存在しています。食事の量としては100名分以上になるので、それに対応できるよう、かなり大きな設備を備えています。

しかし、この厨房が活用されるのは、実は年に数回の法要の時くらいで、使われずに眠っている日の方が多いです。

また、そもそも、お寺には多くの人を収容できる広い部屋もありますが、そちらも稼働率は高くありません。

そんな、眠っている資産を活用して誰かを喜ばせることができるならとてもよいという発想です。

課題

単発・決め打ち

レストランのシェフに出張してもらう形式ですので、どうしても日程が決め打ちになってしまいます。今回、当日までの間に「行きたいけど、どうしてもその日は予定が」という連絡がたくさんありました。

また、同じくシェフが出張形式のため、お寺・レストランの予定が合う日はそうそうありません。結果として「次回はいつ」といった案内も難しく、あくまで単発の会になっています。

効果の明確さ

飲食店はあくまでビジネスとして成立しなければなりません。

もちろん、イベント自体も料金をいただいていますし、イベント後に店舗へ足を運んだ方がいらっしゃるのでメリットはゼロではないですが、その効果は不明確な状態にとどまっています。ここを解決できると、より継続性があり、事業者にとっても汎用的になると考えています。

以上です。参加者の方から満足のメッセージがたくさん届き、大変うれしい結果となりました。

(参考)料理写真集

当日の料理の写真です。写真でも十分美味しそうですが、食べると想像を超えて美味しいです。(個人的にはスープが絶品)